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建設キャリアアップシステムとは
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者個人の保有資格や就業履歴を、共通のシステム上に登録・蓄積していくことで、技能者の適正な処遇改善や、育成の推進を図ることを目的としてつくられたシステムです。
2019年の運用開始から登録者数は増え続け、2025年3月末で、技能者約162万人、事業者約29万者の方が登録を行っています。
利用手順
建設キャリアアップシステムの登録から利用開始までの流れは以下のようになっています。
①技能者情報の登録
②カードの交付
③現場での読み取り
④レベル評価
①技能者情報の登録
技能者個人に関する情報を登録します。
本人情報(住所、氏名、生年月日)、保有資格、健康保険情報等を登録し、就業履歴を蓄積していく土台を作ります。
※技能者登録を行うためには、所属先の事業者も、事業者登録を行う必要があります。
②カードの発行
技能者登録完了後、CCUSカードが送られてきます。
このカードを現場での就業時にスキャンすることで、就業履歴が蓄積されます。
③現場での読み取り
先述の通り、交付されたCCUSカードを技能者本人がカードリーダーにスキャンします。カードリーダーの設置は、その現場の元請事業者が行うこととされています。
1日に複数の現場で作業をする場合、その都度スキャンを行い、個々の就業履歴を蓄積していきます。
④レベル評価
CCUSカード登録・蓄積された情報をもとに、レベル評価が行われます。
評価はレベル1~4の4段階に分けられており、レベルごとにカードが変わります。
このレベル評価や、就業履歴等をもとに個々の能力に応じた処遇の改善が進められています。
建設キャリアアップシステムのメリット・デメリット
技能者、事業者それぞれの、建設キャリアアップシステムを利用することのメリット・デメリットを解説していきます。
技能者側のメリット・デメリット
メリット
・自身の技能や経験を客観的に証明できる
・技能、経験に応じて適正な処遇を受けることにつながる
・休業後も適切なキャリアからリスタートすることができる
・建退共との連携により適切な退職金の支払いが受けられる
デメリット
・登録料が発生する
事業者側のメリット・デメリット
メリット
・企業評価の向上、若手技術者へのアピール
・事務作業の効率アップにつながる
・公共工事の入札にあたり、評価が上がる
デメリット
・各種費用が発生する
それぞれの特徴
技能者側に関して
技能者側の大きなメリットとして、自身の技能・経験を客観的に証明しやすいことがあげられます。建設業の特性上、現場や工種は多岐にわたり、1つ1つの経験の証明は手間と時間がかかります。また、今後数十年働いていく中で、転職の可能性もあるため、同一のシステム上で自身の能力を証明できることは、建設キャリアアップシステムの最大のメリットといえます。
事業者側に関して
事業者側の大きなメリットとして、2つの点で企業評価が向上することがあげられます。
1つ目は雇用機会に関する点です。
建設キャリアアップシステムへの登録は義務化されていませんが、就職活動を行う側としては、重要な点です。これからキャリアを積み上げていく技能者にとって、登録している事業者かどうかで評価が変わります。
雇用機会を喪失しないためにも、登録は必須とも言えます。
2つ目は経営事項審査での加点です。
評価の際、建設キャリアアップシステムの内容によって、加点が得られることもあります。
公共工事を受注する事業者にとっては、1点でも多く加点を取りたいため、登録することメリットにつながります。
デメリット
技能者・事業者双方にあげられるデメリットは費用が発生することです。詳細は下記の利用金額の中で解説しますが、主に登録時・更新時にかかる費用、スキャン時にかかる費用など、継続して費用が発生します。メリットを受けるための必要経費のため、仕方がないことですが、新たに事業者登録を行い、技能者数も多い場合、初期費用が膨らむため、検討が必要です。
利用金額
建設キャリアアップシステムを利用するために必要となる費用を解説します。
費用の種類は1.技能者登録料、2.事業者登録料、3.管理者ID利用料、4.現場利用料の4つがあげられます。
1.技能者登録料
申請方法 | 登録料(円) |
インターネット (1)簡略型 | 2,500 |
〃 (2)詳細型 | 4,900 |
認定機関 詳細型 | 4,900 |
カード再発行 | 1,000 |
※簡略型は技能者の本人情報の登録、詳細型は技能者本人の情報に加え、保有資格、健康診断の情報を登録します。
※あとから簡略型から詳細型に変更する場合、差額の2,400円の費用が発生します。
※カードの有効期間は、発行日から9年が経過後、最初の誕生日までです。
→申請時60歳以上の方は、14年経過後
→本人確認書類が未提出のかたは2年経過後
2.事業者登録料
事業者登録にかかる費用です。登録料は資本金をもとに決まります。
資本金 | 登録料(税込) |
一人親方 | 0円 |
500万円未満(個人事業主含む) | 6,000円 |
500万円以上1,000万円未満 | 12,000円 |
1,000万円以上2,000万円未満 | 24,000円 |
2,000万円以上5,000万円未満満 | 48,000円 |
5,000万円以上1億円未満 | 60,000円 |
1億円以上3億円未満 | 120,000円 |
3億円以上10億円未満 | 240,000円 |
10億円以上50億円未満 | 480,000円 |
50億円以上100億円未満 | 600,000円 |
100億円以上500億円未満 | 1,200,000円 |
500億円以上 | 2,400,000円 |
3.管理者ID利用料
事業者情報を管理するために必要となる、管理者IDの利用料金です。利用期間は1年のため、毎年費用が発生します。
1IDあたり 11,400円(税込み)
※1人親方の場合は2,400円となります。
4.現場利用料
現場でのスキャン時にかかる費用です。
支払いは元請事業者が行います。
1人・日、現場あたり 10円(税込み)
※現場ごとに費用が発生するため、1日で2現場に就業する場合、20円がかかります。
最後に
建設キャリアアップシステムの利用は技能者・事業者双方にメリットがあり、これからの建設業界においては必須とも言えます。現在登録は義務化されていませんが、未登録の事業者様も、この先を見据えてご検討をお勧めします。
弊社では建設キャリアアップシステムの登録代行を行っております。
事業者登録、技能者登録や、各種変更申請も対応可能となっております。
ご不明な点がありましたら、ぜひ一度お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。