宅建免許の要件について

宅建免許の取得要件として、以下の内容が挙げられます。これらの内容はすべて満たしていることと、免許取得後も継続して維持していくことが必要です。

要件

  1. 事務所を適切に設置していること
  2. 専任の宅地建物取引士を置くこと
  3. 欠格事由に該当しないこと

1. 事務所を適切に設置していること

「事務所」と名乗ればどういった形でもいいわけではなく、以下の各事務所要件に適合している必要があります。

事務所形態

事務所の形態として、物理的に宅建業の業務を継続的に行える機能を持ち、社会通念上事務所として認識される程度の、独立した形態を備えていることが必要です。

事務所として認められないケース

  • バーチャルオフィス等の仮想空間内の事務所
  • レンタルオフィス等の共用空間を事務所とすること

他にも、次のようなケースでは注意が必要です。

  • 1つの部屋を他の会社と共同で使用する場合の条件
    それぞれに出入口が別々にあり、互いの事務所を通らずに出入りできること
    それぞれのスペースの間に、パーティション等を設置し、相互に独立していること

例)

1つの部屋を他の会社と共同で使用する場合の条件_図

左:

右:

右の図の場合、事務所Bには、事務所Aを通らないと出入りできないため、認められません。

  • 住宅の一部を事務所とする場合(戸建て、マンションともに)
    事務所専用の出入口があること、または専用出入口がない場合、玄関から事務所まで、他の部 屋を通らずに出入りできること。
    ほかの部屋とは壁で明確に区切られていること
    内部が事務所としての形態を整え、事務所の用途のみで使用すること
    事務所としての「使用権原」を有していること

例) 

住宅の一部を事務所とする場合(戸建て、マンションともに)_図

賃貸住宅の一室を事務所として使用する場合、事務所利用の「権原」を有していることが必要です。確認方法として、賃貸契約書の使用目的の欄に「事務所利用可能」の旨の記載が必要となります。記載がない場合にはオーナー側への確認が必要です。

なお、他社との共同使用、住宅の使用のどちらの場合にも、行政庁ごとに取り扱いが違うため、事前の確認が必要となります。

事務所に必要なもの

事務所内に設置する備品にも要件があり、申請時に写真の提出が求められるものもあります。

宅建業法上、設置義務があるもの

  • 帳簿の備付
  • 標識の掲示
  • 報酬額の掲示
  • 従業者名簿

その他設置が必要なもの

  • 固定電話
  • 応接スペース(備品も含む)
  • 執務スペース(人数分の机、椅子等も含む) etc.

2. 専任の宅地建物取引士を置くこと

宅建業者は、事務所ごとに専任の宅地建物取引士を、従業員の5人に1人以上の割合で配置する必要があります。この「専任の宅地建物取引士」とはどういった人のことなのか、詳しく解説していきます。

「専任」とは

宅地建物取引士の資格を持っていれば誰でもいいわけではなく、「専任」の宅地建物取引士である必要があります。「専任」として認められるための要件として、「常勤性」と「専従性」が求められています。

「常勤性」とは

常勤性とは、事務所の通常の営業時間内は、常に勤務しているということです。宅建士の人数が足りないからといって、他の会社に勤務している有資格者や、定年退職等で、再雇用の予定がない方などを、専任の宅地建物取引士として登録することはできません。

また、アルバイトやパートの従業員を登録することもできません。さらに、常に事務所に通える必要があるため、通勤にかかる時間も審査が行われます。

常勤性が認められる時間として、おおむね2時間以内に通える位置に、居住地がある必要があります。これは、テレワークで仕事を行う場合でも、変わりはありません。

「専従性」とは

専従性とは、専ら当該事務所の宅建業にかかわる業務を行っているということです。そのため、下記のような方は「専従性」が認められません。

  • 他の会社の専任の宅地建物取引士である者
  • 他の会社の代表取締役、若しくは常勤の役員である者
  • アルバイト・パート従業員
  • 学生

→ 専任の宅地建物取引士登録前に行うこと

宅建免許申請の際や、新たに専任の宅地建物取引士となる方の登録を行う前には、当該宅建士の資格者証の、従事先の欄が空欄である必要があります。 

この従事先は、宅地建物取引士資格登録簿」に登録されているもので、前職がある場合には変更の手続きを行う必要があります。前職を退職しただけでは、自動で変更されないため注意が必要です。

「専任の宅地建物取引士」となるためには、まずは宅建試験に合格する必要があり、足りないからといってすぐに人材を確保できるものではありません。そのため宅建免許維持のため、会社として宅建士の養成を行っていくことが求められています。

3. 欠格要件

宅建免許の欠格要件として、下記のような点が挙げられます。これら欠格要件は、免許申請時だけでなく、免許取得後も継続して該当しないことが求められています。

  • 破産者で復権を得ていない者
  • 心身の故障により、宅建業を適正に営むことができない者
  • 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行後5年、若しくは執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 宅建業法違反、暴力的な犯罪等により、罰金刑に処せられ、その刑の執行後5年、若しくは執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 不正の手段により免許を取得した者、業務停止処分に違反した者、業務停止処分事由に該当し、情状が特に重い場合
  • 暴力団関係者

最後に

上記の要件のほかにも、各行政により求められる内容に少し違いがあります。そのため、申請前の事前確認が重要です。

弊所は宅建免許証所得に関する相談を承っております。申請に関するお悩みや、ご質問はお気軽にお問い合わせフォーム(メール)よりご相談ください。

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