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1.はじめに
建設業許可取得にあたっては専任技術者を配置する必要がありますが、専任技術者として認められるためには各要件を満たし、それを証明する必要があります。
今回はその中でも一番証明が大変な、実務経験で要件を満たす際の証明方法について、詳しく解説していきます。
2.専任技術者の要件
専任技術者として認められるためには、資格、学歴、実務経験年数等により要件を満たしていることを証明する必要があります。
また、一般建設業許可と特定建設業許可の場合で違いがあるため、取得したい許可の種類に合った技術者の配置が必要です。
一般建設業許可 | 特定建設業許可 |
①国家資格を有する者 ②許可を受けようとする建設業の建設工事に関して、一定期間の実務経験があること ・大学又は高等専門学校の指定学科卒後3年以上の実務経験 ・高校、専門学校等の指定学科卒業後5年以上の実務経験 ・10年以上の実務経験 | ①国家資格を有する者 ②一般建設業許可の専任技術者要件を満たし、許可を受ける建設業の建設工事に関して発注者から直接請負い、請負代金の額が4,500万円以上の工事を2年以上総合的に指導監督したもの |
→必要な国家資格は許可を受けようとする建設業種によって変わってきます。
詳しくは 専任技術者になれる資格区分と指定学科 をご確認ください。
ここからは実務経験の証明に注目しつつ、各要件の証明方法を解説していきます。
3.資格、実務経験の証明方法
①資格の証明方法
はじめに国家資格等の証明方法について確認します。
申請の際に必要な確認資料は以下のものがあげられます。
確認資料
・資格者証
・合格証
・大臣特別認定書 など
これらの資料の写しを申請書類に添付します。
資格と合わせて実務経験が必要な場合は、③の資料も必要期間分添付します。
②指定学科を卒業していることの証明方法
確認資料
・卒業証明書
卒業した学校に発行を依頼するため、取得に時間がかかる可能性があります。そのため取得までのスケジュール確認が必要です。
指定学科卒業と合わせて実務経験が必要な場合は、③の資料も必要期間分添付します。
③実務経験の証明方法
証明で一番難しいのが、実務経験の証明です。
証明方法は複数ありますが、各都道府県によって求められる確認資料が違うため、事前確認が必要です。
実務経験の期間は3年、5年、10年と区分されていますが、証明方法は同じです。
該当期間分の以下の資料が必要になります。
実務経験を証明する期間、勤務先が建設業許可業者の場合
・建設業許可証
・実務経験証明書(様式第9号)(次項で解説)
実務経験を証明する期間、勤務先が建設業許可業者でない場合
・実務経験証明書(様式第9号)
・工事請負契約書、注文書・請求書等
解説
それぞれの書類について解説していきます。
実務経験証明書(様式第9号)
実務経験証明書は、証明期間の工事内容や工事期間をまとめて記載する書類です。
雇用主が証明者となるため、他社での期間を証明する場合はその会社ごとに実務経験証明書を作成する必要があります。
また記載した工事に関しては、次の項目で解説する「工事請負契約書、注文書・請求書等」の確認資料の提出も必要になります。
そのため、複数の会社での実務経験を証明する際には、書類が増えるだけでなく他社の協力が必要となります。

工事請負契約書、注文書・請求書等
工事請負契約書、注文書・請求書等は1つの工事に対してすべての書類が必要となるわけではありません。提出書類は各都道府県によって違いがありますが、以下のような組み合わせが考えられます。
1つの工事の証明に必要な書類例
・工事請負契約書
・工事請負契約書 + 入金が確認できる資料(通帳のコピーなど)
・注文書 + 入金が確認できる資料
・請求書 + 入金が確認できる資料
ポイントになるのは、工事内容を具体的かつ客観的に証明することです。
たとえば工事請負契約書は、当事者双方の合意のもと発行されるため、工事契約を客観的に確認できます。
しかし注文書の場合、発注者から一方的に発行される書類のため、契約に至っていない可能性があります。
そのためその工事代金の入金確認資料を添付することで、工事の実態を証明します。
請求書の場合も同様です。
工事ごとに資料の組み合わせが変わっても問題ありませんが、証明する期間すべての資料を集めると膨大な量となるため、前職等の関係先と事前に調整を行う必要があります。
4.常勤性の確認資料
ここまで資格、実務経験等の証明方法を解説してきましたが、専任技術者の要件には常勤性も求められています。
常勤性の確認として、以下の資料の提出が必要になります。
・健康保険証の写し
・確定申告書の写し
5.注意点
申請先による違いに注意
証明に必要な資料は、申請先行政庁によって違いがあります。
たとえば、千葉県の場合実務経験の証明資料は、1年につき1件の提出が必要とされていますが、東京都の場合は月に1件の資料が必要となります。
年に1件と、月に1件ではかなり大きな差があります。
このように提出資料の違いは、ほかの確認資料でもあるため、事前確認が重要となります。
7.まとめ
実務経験の証明は、専任技術者、経営管理責任者の要件適合を確認するのに必要となっていますが、上記の通り資料を用意するのに大変多くの時間と労力を要します。
そのため中には現在の職場で実務経験を満たしてから申請を考える方もいらっしゃいます。
しかし資料さえ集めることができれば、今すぐにでも申請が可能なケースもあるため、合計期間で実務経験を満たしている場合には、許可取得について行政書士等の専門家に相談することをお勧めします。
8.申請にあたって
弊社は建設業許可取得にあたって、申請代行、取得サポートを行っております。
専任技術者のほかに、経営管理責任者の証明にも実務経験を証明する必要があり、新規で建設業許可を取得する際は、確認しなければならない点が多数あります。
申請書類や証明方法、各種要件でお悩みの方は、ぜひ一度寺行政書士法人にご相談ください。
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